川崎フォトエッセイ  その816  家族の臭み       HOME

 日本的なものは先祖にまつわる家族の思いのようなものが混ざっている。

 若い人にとって日本的なものは別世界のように思われがちだが、祖父や祖母の時代とはまだ繋がっており、その世代のさらに両親となると、日常の中で普通に着物を着ていたはずだ。

 家族の古いアルバムには和服姿のご先祖さんがいるはずで、さらに写真のない時代までさかのぼれば、和風の色彩はさらに濃厚になる。

 この国の文化と言うよりも、その人の家族の文化が継承されているはずで、これは単に印象とか、思い出とか、思い出話とかでもかまわない。

 日本的なものが、家族的なところから発生している場合、リアリティがある。

 古い箪笥や家具を見ていると、それを血のつながりのある先祖も使っていたのかと思うと、ただの美術鑑賞や、ファッション感覚とは違う臭みが出る。