川崎フォトエッセイ  その876  抜ける       HOME

 抜けの良い場所がある。そこが狭苦しい路地の奥であっても、直線ラインが延びている場合、閉鎖感はない。

 直線は、人が走るとき、フルスピードで走れる。障害物や、避けないといけないものが路面になくても、道が曲がっていたりすると、スピードの調整が必要になる。

 気持ちの中で、直線距離を走るイメージがあるためか、真っ直ぐに延びた道を見ていると、抜けの良さを感じるのだ。

 抜けの良い場所は、逆に言えば、見通しの良い場所であるため、隠れ住むには適していない。また、攻められたとき、最短距離で敵がやってくる。

 城下町の道が入り組んでいるのはそのためだろう。城にたどり着くまで、できるだけ距離を稼がせるため、迷路のようにのべ距離数を長くしているのだ。

 毛細血管のような小道を行くと、人の家の庭に辿り着いてしまうこともある。道は何かと何かを結びつけている。