川崎フォトエッセイ  その906  既知なるもの       HOME

 見慣れないものを見たとき、今まで見たものに置き換えることがある。未知なるものは不安だが、既知なるものは得体が知れているので、こなしやすいからだ。

 しかし、既知なるものも、ある側面や、ある表面を見ているだけのことかもしれない。少しポジションが変わると、とたんに未知なる暗闇となる。

 既知なるものも、時間が経過すれば、違ったものとして立ち現れることもある。その既知なるものが客観的には同じ状態でも、接する側が変化してしまえば、扱い方も変わってしまう。

 本質的には既知のままでも、表面的な変化に迷わされることもある。その表面は、未知の箇所を含んでいる場合、早く既知のものとして取り込みたく思うだろう。

 既知の関係もある。その関係が曖昧なままだと、関係の変化に余地がある。そこに新たな展開が開けることを希望としてみることも、また新たな不安を産むおそれもある。