川崎フォトエッセイ  その952  人ゴミ       HOME

 ゴミは忌まわしいものかもしれない。ゴミになる寸前までは価値があったのだが、価値を失った瞬間邪魔なものとなる。

 同じことは人間関係にも言える。必要なときは、価値ある人になるが、必要でなくなれば、無価値とは言わないまでも、関係の温度は下がる。

 ゴミは捨てればよいが、人間関係は単純には捨てきれない。ゴミには意志はないが、人には意志がある。

 人をゴミのように捨てても、それは関係を捨てるだけのことである。

 捨てられた人というのは、別にゴミ置き場へ行くわけでもないし、ゴミとして扱われるわけではない。その人がゴミになったわけではないからだ。

 ゴミにされてしまった人も、別の所で、ゴミを出している。ゴミはゴミを出さないが、人は出し続ける。

 関係をうち切った後に残るゴミは、残滓のようなものだ。

 しかし、関係を断ち切らなくても、自然と疎遠になり、関係が消えていくことも多い。