川崎フォトエッセイ  その994  橋       HOME

 橋を渡ると場面が変わるのは分かりやすい。橋により、こちら側とあちら側が区切れれていると、言葉でも説明しやすい。

 橋を渡る時のドキドキ感は、場面転換の過程に似ている。一気に変わるのではなく、渡りながら変わりつつある前方が近づいて来るのだ。

 橋は渡るためにあり、立ち止まっても仕方のない場所だ。また普通の道に比べ、橋は不安定でもある。空中に浮いた道であるため、消えてなくなることもある。

 橋は渡りきるためにある。渡る以外の用事はないからだ。

 橋にはドラマが多い。しかし、橋が単に道路の一部になり、邪魔なものをまたいで渡るだけの機能になってしまうと、橋を渡る時の情感も沸かないだろう。

 土の道が、橋で木の道になり、足元が変化し、空気も変わる。そう言う感覚が伝わらない橋は、単に物理的な機能しか出ないかもしれない。

 

 

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