川崎フォトエッセイ  その1013  先の闇       HOME

 人との関係は闇である。と言うより、自分から見た世界は、自分だけが見ている世界で、わずかに光を照らしているだけだ。だが、その光で見える世界も自分だけのもので、他の人も同じ種類の光で照らしているわけではない。

 自分の光では届かない世界のほうが遥かに多く、しかも見えていても、見え方が自分だけの見え方となると、ほとんどのことが闇と言っても過言ではない。

 物に対しては、それは人のような意思がないため、単純で分かりやすい。川原で転がっている石につまずいても文句は言わないが、道路上でなら諦め切れないものがある。

道路は人が管理しているはずの場所であり、石が転がっているのは管理や整備の不足を感じる、つまり人を感じるからだ。

 しかし、石が転がっていても、いきなり壁があり、道がふさがれていても、そう言うものかと思い、回避する人もいる。

 同じ現象に出合っても、出方が異なる。それを推測することは不可能で、分かっていることは、違いがあることを認め、自分と同じようには他人は、そうとは思っていないことを前提にすることだろう。

 

 

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