川崎フォトエッセイ  その1014  店の顔       HOME

 子供の頃見た商店街の迫力は、今では感じられなくなったが、横への広がりは果てのないほど広かった。

 商店街の多くは地上にあり、二階や三階への広がりはあったが、地上に比べ、奥まりすぎる関係からか、怖い場所のように思えた。

 商店街が果てる場所は、場末ということになるのだが、その境界線は曖昧で、気が付けば普通の住宅地に紛れ込んでしまうこともある。

 また、商店街が切れても、まだ、道沿いに店は点在し、それらの店は専門店が多かった。つまり、客が毎日来るような店ではない。

 店の人は、店と似たような趣の人で、例えばたこ焼き屋なら、それを焼いているおじさんやおばさんもたこ焼きに似ていた。

 店と人とが合体しているような感じで、その意味で店に顔があった。店構えの顔ではなく、店の人の顔や物腰が、店の雰囲気を醸し出していたのだ。

 

 

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