川崎フォトエッセイ  その1031  里の家       HOME

 里にある家は、どこかのびやかだ。土地が広いためかもしれない。裏山も自分の土地だという家もあるだろう。

 街の価値観と里の価値観は違う。里の家ののびやかさを街でやるのは不向きだろう。家が大きいとメンテナンスが大変だ。

 里にも山にもしんどさがある。人は単にそこで住んでいるわけではなく、生きていくためには動きが伴なう。その動きは任意なもので、かなり、融通が利く。そのため、人の意志が働きやすく、夢や希望と結びつく。

 それまでの約束事を放置し、違う世界へ飛び出すことも可能だ。

 里の家では、その里の人が何をしているのは筒抜けだろう。しかし街の家では隣の人が何者なのかさえ分からない。

 プライバシーが守られるのはありがたいが、お節介がしにくくなるだろう。

 環境のよさや人間らしい暮らしよりも、その人間の持っている欲望が優先するのは仕方のないことだ。