川崎フォトエッセイ  その1110  素朴       HOME

 素朴なものに対しての憧れは、素朴な人にとっては意味をなさないかもしれない。

 複雑世界、飾り立てた世界の住人ほど、素朴なものを求めるとすれば、その素朴も、飾ったものの一つになるような気がする。

 それが、素朴さを狙った装飾だとすれば、その「素朴」は、抽象的な物になるだろう。

 素朴さを見出すのは、何らかの優越感の裏返しかもしれない。

 しかし、素朴なレベルから、いつの間にか、様々な物が付け加えられ、知らぬ間に複雑な物になってしまった人にとって、原点であり、戻るべき場所かもしれない。

 また、素朴であり続けられない状態から、フォーマットを掛けることもある。その場合、出家遁世も一つの手段だ。

 それが出来ない人は、素朴なものを、何か一つ、付け加え、たまにそれと接することで、バランスを取るのだろう。

 

 

川崎フォトエッセイ  その1110  素朴       HOME