川崎フォトエッセイ  その1112  枯れ野原       HOME

 枯山水と呼ばれている庭は、石や砂で出来ている。そこに川らしいものが表現されていても、水は流れていない。

 流れを表すため、砂に模様などをつける。石や砂にも、よく見れば色彩はあるのだが、モノクロームに近い色合いだ。

 そこに枯れ葉が落ちると、趣が違ってくる。本物の雨が降っても、砂地が吸い取ってくれるため、枯山水のままだが、落葉が降ると、雪のように積もる。

 枯れ葉は既に彩度を落とした状態で、落下し、その後、紅葉の鮮やかさからは、ほど遠い感じとなる。

 色彩はそこにはあるのだが、枯れているという意味で、枯山水の庭とはミスマッチにならない。

 ただ、抽象的な枯れ方ではなく、具体的に枯れたものだけに、やや俗っぽくはある。

 積雪で、一面銀世界があるように、枯れ野原があっても悪くはない。

 

 

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