川崎フォトエッセイ  その1160  高さ       HOME

 建物は低くても、高い場所にあると、大きく見上げることになる。

 山や丘や台地は建物ではないが、それも含めた上での建造物だ。

 その建物に近づくには、急な坂道や、石段を登ることで、大層な距離感を感じさせてくれる。それは、気持ちだけではなく、肉体的にもだ。

 有難いものには、すぐには接せられない。この間合いを寺社は演出しているのだろうか。

 山が信仰対象になったのも、おいそれとは近づけないほど高いとか、登りにくいほど険しいことが、理由になっているかもしれない。

 高いとそれだけ天に近く、聖なるものに近づく感じがある。

 これは、人の持つ、上下の感覚だろう。地獄は天にはなく、やはり地下にありそうだ。

 神や仏の存在は、人間の感覚から出たものなのだが、そのほうが理解しやすいためだろう。