川崎フォトエッセイ  その1203 リアル      HOME

 写真はリアルな現実を掴み取ることは実際には出来ない。それはスチール写真でもビデオでも同じだ。

 なぜなら、そこに身体を置き、肉眼で見ていないからだ。写真は多くのものをそぎ落としてしまう。

 そぎ落とすことが、作品たらしめることになる。

 つまり、写真は現実ではなく、作品がそこにあるわけだ。そして、真実を写す、真を写すというのも、危険な見方だ。

 写真は、何らかの現実を光として捉え、それを物理的な何かに書き込み、見るときは、そのものを拡大したり、展開して、本当らしく見せている。

 写真をいくら拡大しても、その奥には何もない。最後は粒子や、それ以上分解できない固まりに突き当たる。

 しかし、機械的に切り取られた写真の世界は、ある現実の一面を、同じように、複数の人でも見ることが出来るので、悪くはない。