川崎フォトエッセイ  その1242 遠くの町      HOME

 古い町並みが残る見知らぬ町は、風景も時間も遠く感じる。

 遠さはすぐには辿り着けず、また身近なものでもなく、また、把握しにくいものだ。

 知らないことは、それだけで幻想を生み出しやすい。その町の事情を知り尽くしていると、そんな幻想は見えにくいだろう。

 幻想を生み出しているのは見る側自身だが、その風景と、見る人とはリンクされている。

 見る人の何処にリンクされているのかと言えば、その人の持つ過去データを引っ張り出すインデックスとだろう。

 そのインデックスが示している中身は、見る側の体験データとして入っていないこともある。

 幻想が幻想を指し続けているような感じで、何処まで行っても具体的な事象がないかもしれない。