川崎フォトエッセイ  その1351 記憶の糸       HOME

 子供のころ見た風景で、忘れているものが多くある。

 記憶として残っていないため、忘れていることさえ分からない。

 記憶は写真のように頭の中にストックされているわけではなく、記憶の糸の、その糸の引っ張り具合にあるようだ。

 何かを見たり感じたりするのは、その糸が魚釣りの糸のように引いているためだろう。何かが食いついているのだ。

 人の感覚や感情などは、太古からそれほど変わるものではない。その時代時代の糸の引き具合が違うだけで、使っている機能は同じだ。

 それだけに、昔の人がその微妙な箇所を言葉などで残している。

 そのため、メカニズムを知るよりも稼働癖などの、感情的に分かるレベルで、知ることのほうが扱いやすい。

 人は感情を起こしたときは、既にメカニズムを見ていない。

 

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