川崎フォトエッセイ  その1364 崩れ       HOME

 崩れかけた土塀は、それなりの形としてある。つまり、それも土塀の一種なのだ。

 当然、最初から土塀は崩れていない。いつの間にか崩れてしまう。

 しかし、崩れても、崩れたなりの姿があり、それは悪くはない。

 実際には崩れているのではなく、崩れかかかっているだけで、その状態でも機能は果たしている。

 少しでも崩れたり汚れると、使い物にならないものがある。機能的には問題はなくても、その崩れが致命的な欠点となり、意味をなさなくなる場合だ。

 どの程度までの崩れ方なら許されるのかは、持ち主に委ねられている。つまり程度の問題で決めるわけだ。

 古い町並みや、似たような土塀が続く町並みでは、崩れかけた土塀があったとしても、趣が変わるわけではない。

 古いものは、新しいものよりも、評価基準が甘くなり、かなり崩れていても許されることもある。

 

川崎フォトエッセイ  その1364 崩れ       HOME