川崎フォトエッセイ  その1424 喪失感       HOME

 やや古い年代のものが貴重なのは、それに触れる機会が少ないためだろう。

 ある時代には、普段の暮らしの中にあったようなもので、珍しいものではなかったかもしれないが、消えていくと、貴重な感じのように思えてしまう。

 古いものが消えていくのは、それよりも快適なものに入れ替わるためだが、より優位な快適なものを選択した場合、それに付属していた情緒的なものまで消えてしまうことがある。

 あるものを優先させると、それまで都合は悪くはなかったものまでも、消える場合、全体的には快適になったとしても、諦めなければいけないのかもしれない。

 次の世代では、その体験ももないのだから、その意味での喪失感はない。

 外に向けて開いていた縁側は、同じ機能を果たすものがないまま、新しい建物に置き換えられると、機能的な欠落はリアルなものとなる。

 

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