川崎フォトエッセイ  その1486 傘屋      HOME

 昔はどこの町内にも傘屋があった。八百屋や散髪屋などは残っているが、傘屋はいち早く消えたような気がする。

 一時代前の主流はコウモリ傘と呼ばれる洋傘だ。

 大きく重い傘で、竹の柄などが付いていた。

 傘屋で傘を買い、修理もしていた。傘の修繕は日常的にもよく使われていた。

 ビニール傘や百円ショップの傘や、コンビニ傘などが普及すると、もう実用傘は傘専門店で買う機会などなくなる。

 逆に和傘は、コンビニでは入手出来ない。

 番傘と呼ばれる和傘をさす人は少ないが、旅館の備品などで置いてあることもある。
 また、番傘を開くときの軋み音も、扇子に通じるものがある。

 また、雨粒が傘に当たると、パチパチと快い音がした。
 この快さは、濡れないと言うことの快適さでもあるのだが、その種の音から受ける情感は洋傘では味わえない。  紙の国の情緒だ。

 

川崎フォトエッセイ  その1486 傘屋      HOME