■自費出版の特性を活かす
電子書籍を個人で作る場合、出版規模でいえば、小出版にもあたらない。仲間内に配るコピー機で作ったような同人誌相当だろう。最近は部屋のプリンタで印刷できるので、薄い本ならホッチキスで留めてしまえるので、製本もいらないだろう。
そういう物理的な意味だけではなく、電子書籍自費出版・自主出版は小部数に特徴がある。
たとえばあまりにもローカルなネタだと、最初から読者は少ない。そのネタに興味のある人が千人ほどいたとしても、それが本として出ても、絶対数が少ない。
また、その千人に本が出たことを伝えることは難しい。
本屋におくわけではないので、偶然発見されることもない。そのため、ネット上で知ってもらう努力が必要なのだが、それ以前に、こんな本を作っても売れないのではないかと、先に思ってしまわないことだろう。
電子書籍、特に個人で出す本は非常に細かい。ネタが細かくなるというか、通常の書籍では出せないような辺境的なネタでも本になる。辺境的とは、田舎の話ではない。ネタがローカルすぎるのだ。
そう感じてしまうのは、メジャーな出版社が最初から売れないと踏んで出し渋っていたジャンルのためだ。売れる本しか出さないのは、まあ、当然なのだが。
自費出版だと本の内容はその人が決められる。こういう本が読みたいという本を作ることができる。
決して大部数は売れないだろうが、そういう本が世の中にもあるというだけでも楽しいではないか。それを勝手に個人が作れる時代になっているのだ。
本になってもおかしくないようなネット上でのコンテンツある。ブログなどで、ずっと同じネタを執拗に書き込んでいる人もいる。
だから、何となくブログの記事と個人が出す電子書籍は似ていなくはない。ウェブにアップすることを、昔は出版と呼んでいた。
ただ、ブログと違うのは本の体裁をとることだ。一冊の本としてまとめることだ。つまり、ある程度編集作業がある。出版社の編集員がやるような作業だ。ページ割りをしたり、レイアウトをしたりとか。
しかし、紙媒体の本もデーター入稿で、ほとんどパソコン上で作っているはずだ。だから、ワープロ程度がいじれれば、問題はないと思う。ブログに記事を書き、写真程度張り付けられるような人なら。
また、電子書籍とネットとは親密に繋がっている。これはどのジャンルでもそうだが、知恵を買してくれる人や、丁寧に説明してくれているホームページがあったりする。
ただ、電子書籍で検索すると電子書籍を作る会社が多く表示され、客にされてしまうので、注意が必要だろう。
電子書籍として以前からあるPDFにしても、ソフトがなくてもフリーソフトでも作れる。
大事なのは中身だろう。絵や写真や漫画やイラストを本にするのなら、体裁よりも、内容だ。ただ、その内容の良し悪しは自分で決めるわけで、第三者から認められたりしたものではない。ただ、一般受けはしなくても自分だけは気に入っているということが大事だ。自分自身という一人だけの読者しかいなくても、それはかまわない。他にいる可能性がある。出版するというのは、世の中に出すことで、公開することだ。意外と好んでくれる人がいるかもしれない。全くいないかもしれないが、世に問うというのも本の役目だ。
見知らぬ人たちにも読んでもらえるということでは、ホームページやブログでもできる。そこでエッセイや小説、写真や漫画を発表している人はいるだろう。それと同じように見えるが、電子書籍という括り方で違った空間ができる。ネット上では音楽や動画ある。それらは書籍とはふつう呼ばない。本の中の絵が動くのは面白いが、せいぜい立体絵本程度までが書籍だろう。
電子書籍は書籍であり、本である。実際には紙に印刷されたものではないので「電子」がつく。テレビの出始めは電気紙芝居と呼んでいたようなものだ。
最近は電子マニュアルが増えている。たとえばプリンターを買うと、薄い取扱書が入っているだけで、詳細なマニュアルはCDに入っている。CDの中にPDFファイルがあり、それがマニュアルなのだ。いちいちパソコンを起動しないと読むことはできないが。
その反面便利なことがある。デジタルカメラを中古で買い、マニュアルが入っていなかった場合、メーカーのホームページにいけば、ダウンロードできる。あまり古いのは無理だが。
すべてがデジタル化になることは、いろいろ問題はあるが、メリットもある。
個人でも出せる電子書籍は、そのメリットだろう。
大手出版社が出す電子書籍と個人が出す電子書籍が横並びになる。それほど高い能力は必要ではないためだ。ただ、中身はかなり違うかもしれないが。