電子書籍自費出版

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■電子書籍のフィル形式


 電子書籍の作り方は、ホームページやブログを作るよりも簡単だ。しかし、誰でも簡単にすぐに作れるということではない。一つ一つの項目は、それなりに奥が深い。
 そのため、本人がどこにこだわるかにより、難易度が違ってくる。とりあえず作る程度なら、簡単なのだが、気に入るまで作り込むとなると、際限がない。
 一番簡単な作り方は、ネット上にある電子書籍作成ツールを使うことだろう。販売サイトや電子書籍登録サイト備え付けのツールで、その場でブログを書くような感じでデーターを流し込める。そして、PDFファイルや、そのサイトで閲覧するためのビューアー書式に変換してくれる。
 そこに登録した自分の電子書籍を自分でダウンロードすれば、それが電子書籍となる。たとえばPDFファイルなら、ほぼすべてのパソコンや、電子書籍端末でも読めるだろう。
 この方法は米国アマゾンキンドルが使っており、電子書籍用のファイルを作るためのツールがある。
 ただ、この場合は活字の本だ。文章だけなら、わりと簡単だ。だが、表紙を添えるとなると、どんなデザインにしようかと迷ってしまいそうだが、白い紙の上にタイトルと著者名だけの画像でもいい。また、自分で写した写真を使ってもいい。さらに著作権フリーの写真やイラストもあるだろう。電子書籍端末の違いでカラーはだめな場合もある。
 少しこだわると、目次をつけたりする編集作業が必要だが、必ずしもなくてもいい。意外と装丁関連で引っかかるかもしれないが、電子書籍は本物の本ではないのだから、自分の原稿が本になったときは、こんな感じで作ってほしいと思うところのものを自分で作ればいい。作りたい装丁イメージがあるのなら、話は早い。それよりも、どんな感じがいいのかがわからない場合が困る。わからなければ適当でいいのだ。
 なぜなら、電子書籍はいくらでも作り直せるのだから。最初は白紙の表紙でもいい。
 自主出版は自由度が高いが、決めるのは自分だ。それだけになかなか決まらないことがある。そんなときは適当でよい。専門家ではないのだから。できなくてもいいのだ。
 小説やエッセイや実用書のようなものを作る場合、段組などのレイアウトもしたくなる。そうなると、編集者がやるような仕事になり、これはこれで奥が深い。テキストを流し込めば、それで終わるような問題だが、妙なところで改ページになってしまうことがある。
 たとえば次の章のタイトルが、ページの末にあってはだめだろう。また単純な図解を文字で表した行がページにまたがってしまうのもだめだろう。
 こういう時は、改ページで逃げることだ。無駄な空白ができても、そこは電子書籍なのだから、問題はない。
 ただ、スクロールタイプか、ページめくりになるフォーマットかによって違ってくる。スクロールタイプとはまさに巻物で、少しずつ行を出てくるタイプだ。この場合、ページの概念はあまりないかもしれない。
 電子書籍のフォーマットは多数あり、どれが自費出版としてふさわしいのかは、よくわからないのが現状だろう。たとえばアプリケーションとして売る場合は、個人では無理かもしれない。
 一番妥当なのはPDF形式かもしれない。パソコンでも見られるし、電子書籍端末でも見られる。そして作り方は簡単だ。
 PDFファイルは一から作るのではなく、ワードなどで作った書式やレイアウトを、印刷するような感じで、PDFに出力するような感じだ。そのため、桁数や行数、行間隔やフォトサイズなどはそのまま出る。
 だから、きっちりとワードなどで作り込んでから一気に変換すればいい。
 また、HTMLからの変換も可能だ。
 たとえばホームページ作成ソフトで作ったようなHTMLファイルをブラウザで表示させ、それを印刷するような感じで、PDFに落とせばいい。
 やや高い目のPDFソフトなら、PDFそのものを直接編集することもできるが、ワープロ側で詰めた方がいいだろう。
 PDFは昔は電子書類と呼ばれていた。しかし、そこに漫画をPDF化すれば、それは書類とは言わない。絵なら画集だろう。写真なら写真集だ。
 また、ドットブックという方式もある。これは画像にしてしまうことだ。そのため、写真のスライドショーのような感じで表示できる。文字をフォントではなく画像にしてしまうわけだ。
 また、書式の中にテキストや絵を流し込む方式もあるが、専用ツールが必要だ。その販売サイトが用意しているはずだ。
 こういう場合、文章はテキストファイルさえあれば何となる。それをコピーし、書式に張り付けていくだけだ。
 PDFが一般的なのは、自炊している人はスキャナで取り込んだ本をPDFとして保存することが多いためだ。
 スキャナ側にも保存先フィル形式としてPDFが指定できるのが一般的だ。一枚一枚保存してもいいのだがPDFなら一ファイルにまとめてくれる。
 電子書籍の実際作業は、ファイルにするということだろう。極端に言えばファイルが本なのだ。だから、フィルを作ることが電子書籍を作るという意味になる。
 インターネットそのものも、ファイルが行き交っているわけだ。ネットでホームページを見るというのは、ネット上にあるファイルを見ているのだ。そこに載っている写真もファイルだ。テキストが書き込まれたファイルと写真や絵のファイルを同時に見ているようなものだ。
 メールもファイルだ。添付ファイルはファイルらしく見えるが、本文も実はファイルなのだ。
 だから、電子書籍という固有の物があるわけではない。ファイルがあり、それを閲覧するビューアーソフトがあり、電子書籍というガワであるリーダーがあるだけのことだ。そのため、iPadやキンドルがなくても電子書籍は存在できる。ただ、そういう本に似せたガワがあれば、より本らしく見えるのだ。つまり、ブックカバーのような感じだろうか。
 そのため、自分で電子書籍を作る場合、メディアというかフォームに合わせたファイル形式で作ることだ。自分が書いたものをホームページに掲載するのならホームページの書式に合ったファイルを作る。それと同じように電子書籍なら、それに合ったファイルを作るというだけで、書かれたものの中身が変わるわけではない。ファイル形式を変えるだけなのだ。
 ホームページ表示用のHTMLファイルを電子書籍と呼んでも別にかまわない。ただ、パソコン上で見る電子書籍として。ただHTMLで縦組みや段組みやルビや禁則処理は難しい。そういうのを使わなければ、すむ話ではあるのだが。
 では、どの書式やファイル形式が電子書籍らしいかというと、それは、電子書籍販売サイトを見れば正解がある。
 電子書籍販売サイトはダウンロードが基本だ。そこにファイル形式が書かれており、どれをダウンロードするのかを選ぶことができる。特殊なビューアーを使っているサイトでは、そのビューアーを先にダウンロードするようになっているはずだ。
 この特殊なビューアーで読めるファイルを作るツールが用意されているサイトもある。これは委託販売や投稿ができるサイトだろう。
 アマゾンキンドルなら、その書式で作れるツールがある。パソコン上で作れる。
 だから、販売サイト、または電子書籍端末タイプごとにファイルを作るということだ。もし、電子出版の「出版」という言葉を使うとすれば、ファイル変換の作業だろう。つまり、印刷をする感じだ。「出版」なのだから「版」を作るということだ。この「版」が電子書籍ファイルなのだ。

コンテンツ


電子書籍自費出版と蛸壺現象

■気楽に電子書籍が出せる時代
■自費出版と蛸壺現象
■電子書籍の販売と宣伝
■自費出版の特性を活かす
■電子書籍のコンテンツについて
■電子書籍の販売戦略
■電子書籍の編集と装丁
■電子書籍の作成費
■電子書籍のフィル形式
■電子書籍の作成スキル
■蛸壺現象からの脱出
■辺境性は悪くない